自分の身近にちょっと変わった人がいて、自閉症スペクトラムの特徴があてはまるとしても、その人を自閉症スペクトラムとけして決めつけてはならない。本人が医師による診断を受け、それを自ら語るまで、待つことが肝要だ。これが自閉症スペクトラム、とくにわかりにくい「高機能自閉症」「アスペルガー症候群」に対する理解への大きな壁である。
では、なぜ、自閉症スペクトラムを理解しなければならないのか?
一緒に仕事をしていて、「どうしてこの人は、約束したことを忘れてしまうのだろう」「どうして、あんなに怒るのだろう」と、相手に対する不満を持ち続けることは、自分自身の心を不安定にする。それを解消するためには、相手が自閉症スペクトラムであることを知った上で、その障害への理解をすることが、不可欠だからなのだ。自閉症スペクトラムの障害のある人が、例えば、奇異な発言をしても、それが障害のひとつの現れとわかれば、相手の発言によるフラストレーションはかなり抑えられるはずだ。
奇異なことを言われて気分を害するところを、「これは障害によるもので、悪意はない」と理解し、相手を嫌わない、攻めない。これこそが、自閉症スペクトラムという障害、コミュニケーションと社会性に問題を抱える人へのサポートでもあるのだ。
自閉症スペクトラムの人には、常人にはとても真似のできない優れた能力、記憶力や表現力をもつ人がおり、その顕著なものを「サヴァン症候群」と呼ぶ。そうした人々の能力を、社会や仕事で十分に発揮してもらうためにも、自閉症スペクトラムの特徴を理解し、接することが必要なのである。

