自閉症スペクトラムの3要素「社会性の問題」「コミュニケーションの問題」「想像力の問題」を抱えた人は、どんな言動をとるのか。具体例を挙げていく。
「社会性の問題」のある人は、端的に言えば、人付き合いが苦手、もしくは下手で、人がそばにいると緊張してしまう。例えば、相手と視線を合わせず、とても無口。こちらが話しかけてもうなずく程度で、言葉による返事がない。緊張のためか、肩には力が入っている。仕事に必要な話はできても、世間話や雑談が辛く嫌い。それを気付かれないために、無言でニコニコしている。これは人付き合いに消極的なケース。
一方、積極的に人付き合いをしているのに、その場の空気が読めず、社会性が低い人もいる。例えば、上司が話している最中でも、会話に割り込んで話す。相手が気分を害することを気に留めず、間違いを指摘する。周りが困った顔をしていても気付かず、自分の知っていることを話し続けるので、知識をひけらかしているように見える。相手の都合を考えず、強引に物事を進める。すべてにおいてマイペース型の人もまた、社会性に問題があといえるだろう。これは、相手の立場を考えるといった想像力に欠けている、つまり「想像力の問題」でもある。
「コミュニケーションの問題」がある人は、言葉を発していても、表情が乏しい、声に抑揚がなく一本調子である、身振りや手振りがないといった人が多い。また、暗に言葉に込めた意味を察することや、相手の思いを感じ取ることが難しい。例えば、「あの花きれいだね」と言われれば、大抵の人が調子を合わせて「そうですね」と肯定的な返事をするが、自分が嫌いと思えば「嫌い」と言ってしまう。「暇なときに遊びにいらしてください」と言われれば、相手の都合も考えずに、「暇だから」という理由で本当に遊びに行ってしまう。――このように、言葉通りにそのまま、鵜呑みにしてしまう人がいる。つまり、相手の立場に立って考えるといった想像力に欠けているため、高度なコミュニケーションがうまくできないのである。
自閉症スペクトラムの3要素は、想像力の低さによるコミュニケーション不足、それによる社会性の低さといった形で、関連しているのである。
なお、ここに記載した例は自閉症スペクトラムの人すべてに当てはまるわけではない。 知的障害の有無・程度や個々の特性によって表れる状態は様々である。

