「自閉症」「高機能自閉症」に比べ、知的な障害がなく、言葉をきちんと話せる「アスペルガー症候群」は、子供の頃にその障害が持っていることが、わかりにくい。成人した以降もまた、自分も周囲も障害があると気付きにくい。しかし、言葉は流暢に話せても、コミュニケーションに問題があり、また、ほかの2要素、社会性と想像力に問題があるため、社会生活を送る上で、さまざまな支障が出てくる。学業は普通に行ってきたのに、社会人になって働き始めた途端、物事がうまく運ばず、困惑するといった人が多いのだ。
学生時代は、趣味の合う特定の友人とだけ付き合っていればよかった。また、学業さえ人並みであれば、おとなしい子と思われるだけで、ひとりでいても誰も気にとめなかった。それが「アスペルガー症候群」の障害によるものと知らぬまま、会社に勤め始めると、先輩や同僚と協力して仕事を行うことが苦痛になってくる。休み時間に世間話をするのが気詰まりで、ひとり席を外すようになる。社交辞令を間に受けて、ちぐはぐな対応をし、周りの人が唖然とすることが重なる。その一方で、人とのコミュニケーションが不要な仕事(パソコンの入力や計算、研究開発など)には集中力が高く、自分が納得するまでやめない。仕事に関することは直ぐに覚え、忘れない。ひとつのことを極めることはできる。だが、それを仕事にどう活かすかがわからない。こうした壁にぶつかることが多いようだ。
それが「アスペルガー症候群」の障害によるものであると、本人も周囲も知らず、また、理解できていない。そのため、適切な対処のないまま、本人の困惑はますます深まり、周囲の人との溝が深まっていく。果ては会社を辞め、自分に適した職場を求め、転職を重ねるといったケースもある。なかには、社会生活をおくることに自信を失い、家に引きこもってしまう人もいる。この段階になって初めて親や兄弟などに進められ、診断を仰ぐため病院へ行くのである。
先のような「アスペルガー症候群」の特徴があり、日常生活に支障が出た場合、「アスペルガー症候群」による障害と診断されるのだが、その人の置かれている環境や医師により、そう診断されない場合もある。

