ビジネスクリエーションセンタでは、コマツについての知識を深め、業務やビジネスマナーを指導するだけでなく、算数・国語・専門用語の読み書きや発声練習などの教育も行っている。
下村 読み書きなどの指導を採り入れている理由は?
木村 スキルアップしていけば正社員になれるという夢と、その目標に向かって努力することが必要で、企業としてはハードルを設けていくことが役割だとも思っています。
下村 どんなハードルを設けているのですか?
木村 例えば、ほとんどの雇用先では漢字にルビをふっていると思いますが、うちはあえてルビをふっていません。わからなかったら自分で辞書を引いて調べなさい、と指導しています。“当たり前の社会”には、それに合ったやり方を教えてあげなければ。親御さんや特別支援学校で甘やかされて育ってきた人が多いようですが、自立、自活というなら、その甘えを捨て去らないとダメだと思いますね。厳しいですけど。
下村 「業務日誌」を書くことも日課にしていらっしゃるとか。
木村 はい。生活指導のひとつとして行っています。日誌には5つの“効能”があるんですよ。
下村 5つの効能?
木村 ひとつは体調管理。生活が乱れないための指導をきちんとしていける。第2には漢字の練習です。最初はひらがなが多かったのですが、漢字にするように言うと、彼らは辞書を引いて漢字を書くようになりました。また、パソコン入力の力を高めるために、1日1人はパソコンで日誌を書くよう指導しています。3つ目は、それを指導員が毎日読むので、コミュニケーションツールになることです。
下村 どのようにコミュニコケーションに生かしていくのですか?
木村 思ったことを率直に書いてきます。だから話題もできて、会話が促進される。僕たち指導員や管理する側にはとても嬉しいことです。また、それによって、僕たちの業務上の指示がよかったのか悪かったのかも確認できます。これが4つ目の効能。そして一番大事なのは「希望」で、日誌を書くことで明日への目標を持ち、それが彼らの希望につながっていく。
下村 日誌を読んでいて、新たに発見したことは何かありますか?
木村 障害者同士の人間関係ですね。例えばAさんがBさんのことをどう思っているか、Cさんをどう思っているかがよくわかる。関係がうまくいっていないときは阻害要因もわかりますから、その阻害要因をとってあげられるんです。
下村 障害者雇用というと、《障害者と健常者》というベクトルでばかり見がちですが、《障害者同士》の関係も忘れてはいけない要素ですね。
木村 ええ。《障害者同士の》というのがとても大事。会社に来る楽しさ、仕事の楽しさのなかには、「友だちに会える」というのがあるんです。
木村道弘(きむら・みちひろ)さん
株式会社 コマツ 人事部ビジネスクリエーションセンタ所長
昭和22年生まれ。「人事部ビジネスクリエーションセンタ」の立ち上げを行い、運営を担っている人物。「出張作業」などのアイデアをもち、社内での仕事の創出、社内で障害者があたりまえに働くことを認知させるための事業展開に務めている。



























