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下村健一のクロストーク

Vol.5 コマツ 取材後記

下村健一の取材後記

写真:下村さんと石井さん

 障害者雇用という永続するマラソンのトップランナー「日本理化学工業」(Vol.4)、中堅を走る「きものブレイン」(Vol.3)との対比で言えば、今回の「コマツ」は、いわばビギナー走者の範疇です。障害者法定雇用率1.8%も、この取材の直前(09年12月)に到達したばかり。そういう段階の会社は、どのようにATARIMAEプロジェクトに取り組んでいるのだろう?というのが、今回の取材の一つの注目点でした。
 その答のポイントは、こうした“障害者雇用ビギナー”をサポートする外部の仕組が機能していることでした。「我々の既存の仕事を、障害者に振り向けた方が良いもの/そうでないものに“事業仕分け”してもらった」(木村さん)のを出発点に、ハローワーク、障がい者就労支援センター、障害者就業・生活支援センターなどの支援機関が、それぞれの役割分担で継続的に「コマツ」を支えているのです。これは、障害者雇用に踏み出すことに躊躇している多くの会社にとって、大変参考になることでしょう。

 「コマツ」は、このクロストークで取材してきた他の職場よりも企業規模は遥かに大きく、社員の意識改革を浸透させるのも容易ではなさそうな図体です。しかし、社内出張というユニークなシステムにより、接点が出来た先々の職場では個別に確実に、社員達の意識は変わりつつあるようです。
 例えば、動画リポートの中で、主人公・石井さんが出張先の他部署でブルドーザーの絵のスキャン作業を依頼されるシーン。あれはどういう仕事なのか、撮影後に私が石井さんに尋ねると、「これはコマツが子供達に募集したイラストで…」と、その企画全体の趣旨や、企画の中でこのスキャン作業が持つ位置付けまでをスラスラと説明してくれました。「このガラス面の上に絵を置いて、このボタンを押して」といった、作業手順の説明だけでも仕事としては出来るのに、作業発注者の宇佐見さん(動画に登場する女性)は、わざわざ仕事の意味まできちんと説明していたのです。その狙いを尋ねると、宇佐見さんはキョトンとしたような表情で即答してくれました。「仕事の意味を分かってもらうのは当たり前でしょう、石井さんは社員なんですから。」おっしゃる通り……。
 出張先で知的障害者に新しい仕事の内容を説明するのは、健常者に説明する場合に比べて、確かに懇切丁寧さがより求められます。宇佐見さんはそれを「初めのひと手間」と表現しました。そこさえ配慮すれば、あとは大丈夫、と。これは、前回の取材後記で書いた「初めの一歩」と通じ合うキーワードかもしれません。
 そういえば、この宇佐見さんは今、お腹に赤ちゃんがいるそうです。「この子が産まれてくる将来の社会の事を考えても、障害者雇用など《皆が生きやすい世の中》になってくれていることが、とても大きな安心材料」と、母親の表情でにっこり。自社の社風に《未来の安心》を見出せるって、実に幸せなことですよね。

 石井さん達の所属するビジネスクリエーションセンタが「目指すもの」という標語の中には、《遅くても確実に業務をこなし、信頼を得たい》という一節があります。この“遅くても”という部分に、「慈善事業じゃあるまいし、営利追求の企業がそんな綺麗事を唱えていて成り立つのか?」と疑問を抱く人もいるでしょう。しかしこれは、「遅くても我慢しよう」という妥協的な意味ではなくて、「遅くても他にプラス面がある!」という確信の表れだと、私は木村さんの次の言葉から感じ取りました。
 「知的障害者の良い特性がコマツ本社に漂い、知らず知らずのうちにほんわかとして、明るい、いい雰囲気になっている」
 確かに、こうしたメリットは、現に存在しているにも関わらず、スピードや売り上げといった数値には全くカウントされないので、ビジネスクリエーションセンタの営業成績には現れません。しかしそれは、《数字に反映されない人がダメ》なのではなくて、《人が反映されない数字がダメ》なのです。こんな大切な効果を表現できない「数字」というものは、決して万能な指標ではなさそうです。過度な数字信仰は、大切なものを見落とすかもしれません。

 ―――この1年「クロス×トーク」でご紹介してきた5つの職場は、そんなATARIMAEの事に気づいた経営者や仲間達がいる所ばかりでした。

どちらをATARIMAEにしますか? 数字に反映されない人がダメ?(イラスト:元気な「数字」と落ち込む「人」) 人が反映されない数字がダメ!(イラスト:元気な「人」と落ち込む「数字」)

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