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統合失調症~「あたりまえ」に働ける病気

第6回

コミュニケーションは「具体的」が基本 
~指示は具体的に、注意は論理的に、相手の「理解」を期待しない

職場の担当者がいちばん悩むのが、仕事の指導や注意の仕方ではないかと思います。基本的なことは、1・指示は具体的に 2・混乱させない 3・注意は論理的に 4・できるだけほめる などのことがあります。順に説明していきましょう。

まず指示についてですが、曖昧な言い方や「あとは自分で判断して」といった形は避けましょう。たとえば書類の作成でも「分量はどのくらいで」「いつまでに何部作り」「必要な内容はAとB」など、細かく具体的に伝えてください。「社内向けだからそのつもりでいいよ」「できるだけ急いで」などの言い方では、「そのつもり」や「できるだけ」とはどういうことかわからず不安になってしまいます。具体的にといっても1度にたくさんの指示を出せば混乱してしまうので、たとえば「全部で1日の仕事です。とりあえず○○をしてください。休憩は1時間後にとってください」など、タイミングをはかりながら伝えるといいでしょう。

「変化に弱い」というのも障害特性の1つです。急に資料がいらなくなり、別の仕事をしてもらうことになった場合も、「これはもういいから、こっちをやって」などの説明の仕方ですと混乱してしまい、「自分のミスなのか」などと考えてしまいがちです。「なんとなくわかるだろう」と相手の理解力に期待せず、どうしてそうなったのかを説明し、相手が混乱している場合は整理して、再び具体的な指示に直していくことが必要です。

担当者が悩むのが、間違いをしたときの注意の仕方だと思います。この場合も「これはダメだ」と曖昧にしないで、「こういう理由でダメだ」「だからこうして欲しい」と論理的に進めていくことが大切です。たとえば無断欠勤をしてしまった場合を想定してみましょう。「体調が悪かったので」といわれたら、まず「体調が悪かったんだ」と受け止めます。その上で「だけどあなたがこなかったので、あなたがやる分の仕事をほかの人がやって大変だったんだよ」などと、なぜ無断欠勤がいけないのかを説明し、「だから体調が悪かったら、報告してくれないか」と解決策を提示します。指示や注意の内容がわからなくても、「わからない」と伝えることが苦手なのが統合失調症の人の特徴です。混乱したまま自分で抱え込んでしまい、その結果出社しないなどの悪循環につながりがちです。最初の躓きを少なくする指示や注意の方法が大切だと思います。

そしてなんといっても大切なのが「ほめる」ことです。真面目でよい仕事をしようとしているのに、現実と自己評価にズレがあるという「自己卑下と尊大がないまぜになった自己評価」をもつことが、統合失調症の人の特徴としてあります。「自分はお荷物なのか」「現状のままでいいのか」などと不安なとき、どんなことでもほめてもらえれば、それが大きな力になります。「ありがとう」「助かった」などのこまめな声かけ、「この間の仕事がとてもよかった」「レベルが高い内容だった」など仕事への具体的な評価があることで、少しずつ自信をつけ安定していくのです。まだ仕事の中身が不十分のときでも、「真剣に取り組んでいますね」「いい返事(あいさつ)ですね」「いい質問ですよ」など、ちょっとしたことを取り上げてほめ、関心を持っていることをさりげなく伝えることです。「ほめ言葉」に遠慮はいりません。少々大げさでも結構です。ほめられるのが嫌いな人は、どんな職場、どんな社会にもいないでしょうから。