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統合失調症~「あたりまえ」に働ける病気

第5回

職場環境に「特別な準備」は必要ありません ~心配や気遣いのし過ぎは逆効果です

統合失調症の人を雇用する企業は、どのような準備をすればいいでしょうか。今回は職場環境のつくり方についてお話したいと思います。

特別な準備は必要ありませんが、配属先の職場に1人「専任担当者」を立てることは必要でしょう。同じ職場にいて、本人の障害をよく理解し、仕事の指導や相談などを担う役割の人のことです。誰でも新しい職場に行ったときは不安だと思いますが、統合失調症の人の場合その不安は大変強いものがあります。いつでも気軽に安心して相談できる人の存在は大きな支えとなります。

企業の中には、専任担当者としてカウンセラーや経験者を充てているところもありますが、専門知識や経験の有無は必ずしも関係ありません。一般書やサイトなどで障害についての知識を得て、支援機関と連携してサポートができれば、それで十分です。また役割も、あくまでも仕事・職場に限ったものと割り切るべきでしょう。統合失調症の人は、自分の病気のことや人間関係など多くの悩みをもっています。そのすべてについて相談相手になっていたら、専任担当者が疲れてしまいます。また心配のし過ぎは、障害者本人にとっても負担になります。病気については医師、生活全般についてはセンターの担当者など、本人の周囲には多くの支援者がいます。役割を分担し、情報を共有してサポートしていく体制がベストです。

気をつけたいのが、職場の人間関係です。対人関係については、大きく2つのタイプがあります。1つは、周囲と関わらず孤立するタイプ。もう1つが、周囲と交流できるが、被害的になりやすく、関係性が不安定なタイプです。前者のタイプは、職場の仲間が感情的な交流を持とうとすると、それが善意から来るものであっても、負担に感じる場合があります。昼食や雑談のときなど「一人ぼっちでかわいそうだな」と思っても、強く誘ったり、仲間入りを強要するのは禁物です。後者のタイプも、周囲と同じような人づき合いを要求されることは苦手です。とくに注意したいのが、その場にいない人の悪口や噂話が非常に苦手だということです。「自分も同じように悪口をいわれているのではないか」などと想像してしまうのです。ある販売店に就職した女性は、せっかく長く勤めていたのに、店長が変わったことで辞めてしまいました。「そこにいない店員の陰口をいっているのが耐えられなかった」と理由を話してくれました。

仕事上の役割がしっかりと与えられ、適切な指示を受け、何かあれば相談することができ、それ以上の人づき合いについては「ほどほど」、そしてギスギスした人間関係がない職場が、統合失調症の人にとって安心できる環境ということになります。あるいは、誰にとっても働きやすい環境ということになるのかもしれません。次回は、指示や注意の仕方など、仕事に関するコミュニケーションの取り方についてお話したいと思います。