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統合失調症~「あたりまえ」に働ける病気

第3回

「働く」ことがなぜ大切なのか ~訓練だけではなく現場での経験が大きな力に

投薬により症状がかなり安定したり、回復してきても、本当に「働く」ことができるのか? 企業の方もご心配でしょうが、いちばん心配しているのは本人とその家族や支援者です。「病気になる前の自分と同じようにがんばりたい」、「自分は前と同じだと信じたい」こう思ってがんばって、再発をしてしまい、「もう無理はしないで」と家族に望まれ、そのまま家で暮らしている人もたくさんいます。そんな経験があったり、話を聞いたりすれば、躊躇するのは当然です。

では、なぜそれでも「働く」ことが大切なのか。それは働くことは、皆さんと同様、誰にとっても「生きがい」だからです。恋愛や結婚、子育てなども同じです。病気になったからといって、こうした社会生活をあきらめるのはどんなに辛いことでしょうか。福祉と家族のサポートだけで生活していけるとしても、そこに人生の目標を見出すのはなかなか難しいことです。私の知る例をご紹介しましょう。

ビジネスの専門学校在学中に発症したAさんは、治療後も5年間引きこもり生活を送りました。リハビリの後、やっと就職した会社で「挨拶もできない」と解雇されてしまいます。失意の中、デイケアセンターにいたとき、彼女がお洒落に対して非常に関心が高いことがわかり、ファッション関連の会社に再就職が決まりました。いまは週5日働いています。彼女に聞くと、「ミスをしないでやってくれるね」と評価されたことが大きかったといいます。そして「私の力を信じてくれる会社のために働けるのは嬉しい」と話してくれました。

彼女に限らず働いている多くの統合失調症の人は、「本当はずっと働きたかった」と口にします。「無理をしないで」といわれて家で長年暮らしていた人が、親が年を取って介護を受けるようになったら、病院への付き添いから家事など、本人もびっくりするほど役割を果たせるようになる例は私もよく聞いていることです。支援機関などでの訓練だけでなく、自分が生活する「現場」での社会参加、そして自分の力で役割を果たしていける喜びや生きがいが大きな力となるのです。

では、統合失調症の人にとって、どんな職種・働き方が適切なのか。また、雇用する側にはどんな注意が必要なのか、次回からお話していきたいと思います。