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作業所「さくらんぼ」奮闘記-福祉と就労の間で-

第7回

「知ること」が大切

先日、某高校から講師を頼まれ「障害者にとって働く意味とは何か」についての授業を行ってきた。この高校は進学校で、受験一辺倒になりがちなところを、国語の先生が「障害者と共に生きる社会」について学んでほしいという気持ちから実現した授業だった。高校生活では障害者と出会うチャンスがほとんどないので、大多数の生徒は障害については何も知らない。
「障害のある人と聞くとどんな印象ですか?」と尋ねると「何もできない人」
「かわいそうな人」「怖い」「できれば関わりたくない」と正直に答えてくれた。
私は障害のある人の豊かさを知っているので真逆の印象だが、知らない人にとっては残念ながらこれが現実である。

そんな彼らに、まずは「なぜ私は障害者と一緒に働いているのか」を語った。
従業員の7割が知的障害者だという日本理化学工業の大山会長は『働くことの意味』を「人に愛されること」「人にほめられること」「人の役に立つ事」「人から必要とされること」この4つだとおっしゃっている。そして、「愛」以外の3つは健常者も働くことで得ることができる。でも障害者と働くと「愛」までももらえるのだと。
ストンと心に落ちた言葉だった。
さくらんぼでも、利用者さんはわき目もふらず一生懸命に仕事をする。昼になってもやめようとしない。なぜこんなに夢中になるのだろうと最初は不思議だった。でも、仕事がうまくできたときに「すごいね」「助かったよ」「ありがとう」と声をかけたときの彼らのとびきりの笑顔がすべての答えなのだ。
健常者も障害者も同じ。仕事をやり遂げてほめてもらいたい、人の役に立ちたいと思っている。
おそらく障害のある人と共に働いている人の多くは、その「愛」に気づいているのだと思う。そして、彼らと共に働くことで、自分も成長していることにも、気づいているのだ。もちろん、私もその1人だ。
生徒たちに、自分の体験をとおして「障害者の働く意味」を伝えた後に、ワークショップを行った。
現在、私は知的障害や発達障害を持っている人たちへの理解を深めることを目的に、障害児を持つ母親たちと一緒に「座間キャラバン隊」というグループを作り、公演活動を行っている。その「座間キャラバン隊」で行っているものの中から、今回は生徒たちに軍手をはめて折り紙を折る体験をしてもらった。
どちらかというと障害のある人は手先が不器用だ。それでも最後までやり遂げたいと彼らが思っていることを、折り紙を通して理解してもらうのが目的だ。
ワークショップが終わると、「障害者についてまず知ることが大切ですね」とある生徒が言ってくれた。
彼らがいつか社会に出たとき、職場に障害者がいても当たり前と考えてくれたら……、そんな社会が来るまで、私は「障害者の働く意味」を伝えていきたいとあらためて決意した。


学生の前で「障害者が働く意味」を語る。


手袋をして折り紙を折る学生たち