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作業所「さくらんぼ」奮闘記-福祉と就労の間で-

第4回

「またチャンスが舞い込む」

平成18年11月にオープンしたカレーレストランに、シフォンケーキを卸すところから始まったさくらんぼのお菓子作りが2年目を迎えたころ、さくらんぼにまた転機が訪れた。それは、作業所の増築である。

小規模作業所が、障害者自立支援法に基づく新たなサービス「就労継続B型事業所」に移行する場合に限り、必要となる施設の改修・増築等の経費を神奈川県が助成してくれるというのだ。

ここだけ聞くと、チャンスに思えるのだが、この話を市の障害福祉課より伝えられたのが昨年5月。助成を得るには平成20年度内の竣工が条件だ。3月まで9カ月あれば、普通なら十分間に合う。だが、ここは市街化調整区域。以前、母屋を建てる際に苦労した経験から、そう簡単にいかないことはすぐに想像できた。

しかし、シフォンケーキとクッキーのオーダーが増え、工房がだんだん手狭になってきていたので、工房を助成金で新築できるチャンスは逃したくない。

私が頑張るしかない!!覚悟を決めて、まずは設計を始めることにした。

日中作業所で働き、夜家に帰ってからの設計業務はかなりハードだったが、「こうなったらいいな」という、働いて感じた思いを設計に反映できたことは大きなメリットだった。

案の定、難題が待ち受けていた。車椅子、目の不自由な方、すべての障害者が安心・安全に施設を利用できることを目的にした「福祉の街づくり条例」に設計が適合しているかの事前協議が必要だった。この許可をとらなければ建築確認申請に進めない。仕事でパートナーを組んでいる建築士に手伝ってもらったものの、許可がおりるまで約2カ月待ち、ようやく建築確認申請の手続きへ。「年度内着工が絶対」と建設会社からも脅かされていたので、許可が下りるのを今か今かと待っていた。そして、12月26日の夕方5時にやっと許可がおりた。

なんとこの日は役所の仕事納めの日、ぎりぎりセーフだった。

めでたく次の日から着工でき、3月に建物が完成!!県に助成金申請の書類も無事出し、今年4月、新しいお菓子工房と多目的スペースを新設した。

4帖しかなかった工房が、9帖のシフォン製造の部屋、7.5帖のクッキー製造の部屋と約4倍の広さになった。地域の人にも利用してほしいという思いをこめて作った15帖の多目的スペースは、施設のゆとり空間となった。短期間のうちに環境が変わったことを最初は戸惑っていた利用者さんも「きれいになった。広くなった」と喜んでくれた。その瞬間、今までの苦労と疲れが一気に吹き飛んだ。


多目的室と工房が加わった
「さくらんぼ」の見取り図


「さくらんぼ」外観


クッキー製造