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作業所「さくらんぼ」奮闘記-福祉と就労の間で-

第2回

はじめの一歩

作業所が請ける外注の仕事はどちらかというと単純作業である。そこに創意工夫が必要なお菓子をつくる仕事が新たに加わることは、作業所にとって大きな変化である。

ここ10年間、慣れ親しんだ仕事のペースが変わることを、平均年齢35歳の利用者さんは受け入れられるのだろうか、そして職員も対応できるのだろうか、誰もが不安になった。

しかし、請けた仕事、シフォンケーキの製造をまずは納品しなくてはいけない。

どんなシフォンケーキをつくればよいのか話し合った。

幸いにも私たち理事とケーキ責任者(先生)の意見が一致したため、すぐに方針は決まった。それは、納品先のレストランでシフォンケーキを食べたお客さまが、また食べたくなるような味だ。

商品であるシフォンケーキが美味しいことは一般社会では当然のことだが、福祉の世界では「障害者がつくりました」が理由で売れる現状がある。的確な指導があれば障害者だって美味しいケーキはつくれるし、その努力をしてこそ、「さくらんぼは頑張っているね」と社会に認めてもらえるのではないだろうか。

まずは職員、そして利用者さんの順で、ケーキづくりのレッスンを受けることになった。ここで品質を保つために必要な確かな技術を身につけた。

職員のレッスンが始まった。コックコートに着替えた職員を「わ〜かっこいい」と羨望の眼で見つめる利用者さん。

レシピを横目に悪戦苦闘。計量、粉ふるい、卵白の泡立て、一番大変なのは卵黄の乳化の作業だ。卵黄をもったりするまでよく混ぜるのだが、腕がすぐにだるくなり、かなりキツい。粉や泡立てた卵白などを合わせて最後に型に流し込んで、オーブンにセットイン! 温度と時間の設定をしてスタートボタンを押す。

ちゃんと焼き上がっているだろうか、ドキドキ。「できた〜〜!!」。初めて自分で焼いたシフォンに感激している職員たち。型抜きをしてカット。完成したケーキをみんなで試食。「ふわふわで、しっとり、おいしい〜〜」とあちこちで感嘆の声。美味しいと言ってもらえるこの感動を利用者さんにも体験してもらいたい。そして、作る喜びを感じてほしい。いつしか職員の中にも熱い思いが込み上げていた。