障害者が働くカフェ&ベーカリー「ぷかぷか」を実現するうえで、もっとも大きな課題は資金の問題だろう。
「ぷかぷか」に限らず、ビジネスをスタートするのに必要なのは、まず、お金。
高崎さんがつくった事業計画では、「ぷかぷか」を立ち上げるための資金として、約2700万円が必要になる。
手作りのパンを焼いてお店に出すためには、借りた店舗の改修工事が必要だ。それから、パンをこねる機械や、パンを焼くオーブンが要る。カフェを併設するには、テーブルや椅子、お手洗いも備えないといけない。改修工事や設備投資、什器備品などの費用と、仕入れ費用や1カ月分の運転資金をあわせると、計2700万円という金額がはじき出される。
高崎さんは養護学校の退職金を「ぷかぷか」のために使うつもりだ。また、空き店舗の活用や障害者雇用促進に関連して応募できるいくつかの助成金を申請した。さらに、「ぷかぷか協力債」という債権をつくり、資金面での協力を募っている。債権は額面1万円から5種類あり、利息はないが、購入者には額面2%程度のパンをプレゼントするかたちにした。
退職金と各種の助成金、「ぷかぷか協力債」と借入金をあわせて、なんとか2700万円を工面しようとしており、数種類の助成金は申請が通り、「ぷかぷか協力債」にも購入者が現れている。
しかし、こうして集めるお金が、現在、すべて手元にあるわけではない。高崎さんの退職金が入るのは4月以降、助成金のいくつかも年度始まりとなる4月以降に入金されるという。つまり、「入る予定」の資金を手にするにも、まだ少し時間が掛かる。
一方で、空き店舗の改修工事の契約や着工には、その都度、支払いが必要で、今春のオープンを目指すというスケジュールに従うと、当然、資金の入金よりも、支払いが先に発生することになる。
このため、高崎さんは、「ぷかぷか協力債」への協力を再度、呼びかけている。
「ぷかぷか」の動きに興味を持って追いかけている私自身は、30代半ばの会社員だ。
「自分自身だったら、2700万円の資金をどう調達するか?」と考えてみるが、助成金や債権を活用することを考慮に入れても、それは必要な資金の一部を賄うにすぎないと受けとめる。「本当に借り入れができるのか?」「借り入れても、返していけるのか?」などなど、さまざまな不安に駆られてしまう。私自身が経営者には向かないタイプなのかもしれない。
しかし、2700万円は、よほどのお金持ちでないかぎり、「ちょっと挑戦してみる」「面白そうだからやってみる」という程度の気持ちでは手が出せない金額だ。人生を賭ける覚悟が要ると思う。
2700万円という金額は、高崎さんが描いた「ぷかぷか」の夢を現実にするための値段だ。
しかし、「夢を現実にするのは、けっして、たやすいことではない」と感じている。




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